足底筋膜炎は脚の裏を膜のように覆う腱が炎症を起こし、土踏まずや踵に痛みを感じるようになる病気です。
単純に足の裏に負担がかかったことが原因で発症すると思われがちですが、それだけとは限りません。ここでは足底筋膜炎の原因についてご説明します。
足底筋膜炎の直接の原因は脚の裏の筋肉の硬化
足底筋膜は、かかとの骨と脚先の骨とをつなぐ扇状の膜で、歩くときやジャンプした時の衝撃を受け止める役割を持っています。
足底筋膜炎とは、この足底筋膜が硬化し、歩いたり走ったりした際に無理に引っ張られ、足底筋膜がつながっているかかとや親指の下などに微細な断裂が起こり、痛みを生じるようになるのです。
脚の裏の筋肉が硬くなる原因は大きく二つに分けることができます。
一つ目は、脚の裏に強い衝撃を繰り返し与え続けていることです。
剣道や卓球、陸上といったスポーツは脚の裏に強い衝撃を与えます。
そのため、これらのスポーツをやっている方は足底筋膜炎にかかりやすいと言えるでしょう。
脚の裏に強い衝撃が加わると、筋肉は硬くなっていきます。
硬くなった筋肉をケアすることなくさらに衝撃を与え続けると、やがて筋肉は衝撃に耐えきれなくなり痛みが生じるようになります。
二つ目は、日常生活での疲労の蓄積です。
特別スポーツをしていなくても、日常生活でのちょっとした脚の裏の疲労がたまり続けることによって足底筋膜炎を発症することがあります。
営業で長時間歩き回る方や、長時間立ちっぱなしの接客業をしている方、引っ越しなど重い荷物を運ぶことの多い方は脚の裏に疲労が蓄積されやすいため、足底筋膜炎にかかりやすくなります。
現代人は足底筋膜炎にかかりやすい
足底筋膜炎は、脚の裏の筋肉に何かしらの異常が起きていることが原因ですが、本来であれば人間の脚の裏はそう簡単に壊れるものではありません。
脚の裏は立ったり歩いたり、日常生活を送るために欠かすことのできない器官です。ここが壊れてしまうと、大昔であれば狩りをすることができずに死んでしまいます。
しかし現代は靴があり、さらに厚く柔らかいインソールで守られているため、わずかな脚の裏の異常でも十分に生活することができます。これが反対に人間の脚の裏を弱くしてしまったと考えられます。
そもそも人間の脚の裏は本来アーチを描いており、これが上からかかる圧力を分散して脚の裏への負担を軽減する働きをしています。
しかし脚の裏を過剰に保護するような生活を送っているうちにこのアーチの機能が損なわれ、それによって十分に圧力を軽減することができなくなり、筋肉がすぐに硬くなってしまうようになったのです。
足底筋膜炎は、現代病の一つということもできるでしょう。